米ドル円買いと同じはずなのに、下落でも利益増となるカラクリ
少し、大きな変動が落ち着いてきたような気がします。
値動きが緩やかになると、FXオプションならではの損益構造が見えてきます。
それがどのようなものか、実際の運用記録でご確認下さい。
5月17日 米ドル円「下がってもよし」となるカラクリ
5月17日の米ドル円三方良し戦略ポジション状況です。含み益30,100円+含み損ー104,200円=74,100円の含み損というこという状況です。。
このFXオプションポジションは、米ドル円下落局面では含み損を抱えるポジションです。
つまり、FXの米ドル円買いポジションと同じ性質を持つFXオプションポジションです。
でも、前回記事よりも米ドル円は下落しています。
FXであれば当然のように含み損が増加する局面です。
ところが、FXオプションでは必ずしもそうなるとは限りません。
どういう意味なのか説明させて頂きますね、
現実のポジションをご覧いただくとわかりやすいと思います。
以下が、この2つのポジションの合計含み損益推移です。
月日 | 米ドル円値 | 含み損益 |
---|---|---|
4月29日 | 111.61円 | 90,500円 |
5月9日 | 110.06円 | -93,500円 |
5月17日 | 109.97円 | -74,100円 |
5月9日と5月17日を比べてみてください。
含み損93,500円⇒含み損74,100円と、前回より収支が改善しています。
米ドル円値は、110.06円⇒109.97円と9銭程度ですが下落しています。
このFXオプションポジションは、「米ドル円下落時には含み損が増加し易いポジション」です。
ところが、今回は「米ドル円が下落しているのに、収支が改善している」という訳です。
この現象の鍵は、時間的価値の減少にあります。
FXオプションは、日数経過とともに時間的価値が減少することによってFXオプション取引値(プレミアム値と呼ばれています)が下がりやすくなります。
私の保有する米ドル円プットオプション売りでは、時間的価値減少によるプレミアム値下落は利益増になります。
今回のケースでは、時間的価値減少による利益増加が、為替下落による含み損増加よりも大きくなったということになります。
今保有中のFXオプションポジションは、米ドル円上昇時には更に利益が増加します。
でも、上昇しなくても米ドル円が現在値を往来するようであれば、時間的価値減少が利益増となることで、更なる収支改善が見込めます。
FXオプションの「売り」は、利益が出やすい構造になっているのですが、一般的にはあまり知られていません。
時間的価値減少は、この運用法の収益源でもあります。運用状況推移を定期的にご覧いただくことで、皆さんの有効活用のヒントにして頂ければと思っています。
FXオプション「売り」を機動的に出来るのは、現状サクソバンク証券だけです。
このFXオプションでの「米ドル円三方よし戦略」の概略もご紹介させていただきます。
米ドル円三方よし戦略 概略
この米ドル円三方よし戦略は以下の特徴があります。
- 米ドル円が上がってよし
- 米ドル円が下がってもよし
- 米ドル円が動かなくてもよし
米ドル円相場がどのように動いても、自分にとっては良い結果になるはずなのでが、この運用法のポジションです。
伊藤忠商事の経営理念などで有名な近江商人の「三方よし」にあやかり、「米ドル円三方よし戦略」と呼んでいます。
FXオプションを使うことで、これが可能になります。今回の戦略は、以下のような方に有効です。
- 長期的には円安になるだろうとみている。
- でも、短期的には円高もありそうだ。
- 円高時に米ドル円買いポジションを有利な値でつくりたい。
- もしくは、このまま円安になっても利益をとりたい。
こう考えている方には、米ドル円がどのように動いても三方よしとなるのが今回の戦略です。
こう考えていない方には、三方よしになるとは限らないかもしれないのでご注意ください。
日米の経済成長格差を見る限り、一時的には円高傾向となっても、長期的には円安傾向になるのが自然だろうと私はみています。
米ドル円買いポジションを持ち続ければ長期的に問題はないと思っています。でも、超長期保有というのはそれなりのリスクも取り続けないといけません。
出来るならば「買いポジションを米ドル円が下がったところで作っておきたい」という気持ちもあります。今回の「米ドル円三方よし戦略」でそれができるかもしれません。
やり方は簡単です。
米ドル円プットオプション売りは以下のような性質を持ちます。「売り」の性質上、オプション値が上がれば損失・下がれば利益となります。
- 期日までは、米ドル円上げなら下がり(利益増あるいは損失減))、米ドル円下げなら上がる(利益減あるいは損失増)。
- 日数が経てば時間的価値減少とともに下がりやすい(利益増または損失減)。
- 利益が取りやすいものの利益上限は限定される。
- 大きな円高となれば、相応の含み損となる。
- 米ドル円が期日に権利行使価格よりも上がればプレミアム分の利益を受け取れる。
- 米ドル円が期日に権利行使価格よりも下がればプレミアム分の利益を受け取って買いポジションが発生する。
つまり、「米ドル円三方よし戦略」に合わせて表現しなおすとこうなります。
- 上げてよし:単純に利益」となります。
- 下げてよし:利益+現在値よりも安値で米ドル円買いポジションを保有できます。
- 動かなくてよし:時間的価値減少により利益が増え易くなります。
なんか・・・・本当にそうなるの?・・・・って感じですよね(笑)。
どうなるかは、今後の状況でお見せしていきます。
尚、要注意は下げ相場です。
米ドル円プットオプション売りは、米ドル円買いポジションと同じ宿命を負っています。つまり、米ドル円下げ相場では含み損となるということです。
この含み損も、現在値で米ドル円買いポジションを作ったよりは少なくて済むのですが、10円・20円の円高となればそれなりの含み損となりえます。
このリスクは、資金管理や損きりで臨機応変に対応していきます。
この戦略での大切な条件は、プットオプション売りの権利行使価格を現在値よりも安値を選ぶことです。
こうすることで短期的に円高になりそうだと思ったときには、「現在値よりも安値で米ドル円買いポジションを作る布石」としてFXオプションが使えることになります。
まあ、この説明は実際にポジションを作って、その推移を見ていかないとわからない部分もあります。
今後も、この戦略で作ったポジション状況をお見せしながら、解説させていただきますので、参考になれば幸いです。
現在保有中の米ドル円プットオプション売りポジションは2本あります。
米ドル円三方よし戦略ポジション 基本情報
これが、今保有中の米ドル円プットオプション売りポジションの内容です。。
- 運用通貨ペア:米ドル円
- FXオプション:プットオプション売り
- 保有数量:かくポジション10万通貨
- 米ドル円現在値:109.97円
ポジション分類 | 権利行使価格 | 権利行使日 | 約定値(プレミアム値) |
---|---|---|---|
ポジションA | 110.00円 | 9月4日 | 2.35 |
ポジションB | 111.00円 | 10月9日 | 2.046 |
補足すると、このポジションの最大利益は(2.35+2.046)×10万通貨=439,600円です。
この2ポジションの現在収支がこうなっています。
ポジション分類 | 現在値(プレミアム値) | 損益 |
---|---|---|
ポジションA | 2.057 | 30,100円 |
ポジションB | 3.088 | -104,200円 |
合計 | -74,100円 |
FXオプションの取引値であるプレミアム値は、基本的にはFXと連動します。
ただ、全く同じではありません。
状況にもよりますが、おおむねFXよりゆっくりと反応する傾向があります。
FXが5円下落してもFXオプション反応は3〜4円程度という具合です。
この辺の反応度の違いを使った売買も有効だと思っています。いずれ、現実の売買でお見せできればと思っているところです。
最後に今後の方針です。
今後の方針
今後の売買予定は、米ドル円の値動きによってわかれます。
米ドル円がここから上昇する場合は、現状の含み損が含み益に転換してくることになります。やることは何もなく、現状ポジションそのままでいきます。
現状水準のままで下値不安が少なくなってきたと判断できる状況であれば、あと5万通貨ポジションを増やす可能性があります。
前回10万通貨と書いたのですが、今回は5万通貨に減らしました。
FXオプションは、利益が出易いとはいえリスクは相応にあります。この運用法が軌道に乗るまでは、全体のポジション数は抑えていくべきかなと考え直しました。。
米ドル円が現水準より5円以上の大きな下落があるようであれば、このFXオプションポジションを損きり⇒FXでの米ドル円買いポジションを作る予定にしています。
こうすることで、現水準で単純に米ドル円買いポジションを作るより有利な買いポジションが作れる予定です。
先程書きましたが、FXの5円下落⇒FXオプションの反応度3〜4円という性質を実際の取引で活用するチャンスだと思っています。
でも、実際に出来るかどうかはわかりません。小心者故にビビってしまうかもしれません(汗)。
すべては現実の売買でお見せしてまいります。
今後の展開も定期的に記事にまとめてまいります。
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