FXスランプの脱出法 勝負師たちと私の方法
FXに限らず勝負の世界では、誰でも調子を崩すときがあります。勝負の世界で調子を崩すとそのまま破滅まで突き進むこともあります。そのため、この世界で生き抜いている人々は「スランプの脱出法」というものを必ずといって良いほど持っています。FXとよく似た勝負の将棋世界の事例と私のやり方についてもまとめさせて頂きました。
豪ドル円状況とFXスランプ脱出方法
豪ドル手書きグラフの只今の状況です。●●▲■NEO+場帖・グラフで使っている実際の手書きグラフです。毎日2mmの線を加えていくだけという単純作業です。でも、これで大きな流れは掴むことができます。1枚で1年半の値動きを記入でき、現在9枚目になっているので12年くらい記入し続けていることになります。
最近、ちょっとチグハグな売買が多く気になっていました。いろいろな投資法を平行してやっていたため豪ドル円専門のときとは違う雑念が入ってしまったせいかもしれません。今思うと軽いスランプに入っていたようです。これではいけないと思い、精神面での建て直しをしておりました。
こういう時は、いつもの売買はどんな感じだったのかを見直すのも一つの改善策として有効です。見直す時には、ちょっとしたコツがあります。つでですので、FXでのスランプ脱出に参考になるかもしれない話を少し書かせていただきます。
FXスランプ脱出方法
FXに限らず、相場運用には必ずスランプが訪れます。
はっきり書けば、「いかにすればスランプに陥らないか」という議論はあまり意味がありません。無理に抗って泥沼にはまるより、人間である以上、売買や心理面で波があるのはしょうがないものです。それを元にしたスランプは必ず訪れるものと考えた方が現実的です。スランプを受け入れてしまって対処法を考えるほうが効率的で損失も少なくて済みます。
興味深いことに「裁量トレード」でも「自動売買」でもスランプは必ず訪れます。でも、自動売買の場合は対処法が「EAを止める」か「我慢して使い続ける」かのどちらかしかないのでこの点は楽です。
難しいのが裁量トレードでのスランプの時の対処法です。これは、出来れば好調のときにある程度考えておいて勉強ノートやFX運用ルールなどに追加しておくのがおすすめです。
なぜなら、スランプの時に今までの利益をはがされるばかりでなく本当の意味で死の淵まで追いつめられる人が少なからずいるからです。
このスランプの対処法でとても参考になるのが、将棋の棋士のスランプ対処法です。同じ勝負師ということもあるのでしょうが、将棋のプロの考え方や行動パターンは相場師・専業トレーダーのものと重なる部分が多いのです。
故米長邦雄さんの著書「不運のすすめ」によると、2つのスランプ対処法が紹介されています。
- 初心に帰ってやり直す。・・・中原名人
- 笑うこと。・・・米長邦雄氏
こう書けば、どちらもなるほどと感じるかもしれません。しかしながら、行動に移すのはなかなかできないものです。中原名人は、自分がスランプに陥ったときに自分より格下の若手棋士の中に入っていって、一緒に将棋をうったりするのだそうです。将棋の棋士は、格差社会であり上のものが下にくだっていくというのはかなりの勇気が必要です。米長先生も中原名人のこの行動は「普通の人にできる行動ではない」と書いています。
もう一つ、米長邦雄氏自身のスランプ脱出方法が「笑う」ことです。好きなことを思い切りやって頭の中を空っぽにするとすっきりした明るい気持ちになって、スランプ事態を忘れてしまうものだと著書の中で書かれています。
私のFXスランプ脱出法
私は、大スランプと感じたときはこの両者を組み合わせたようなことをやります。
- ポジションをゼロにする。
- 教科書本を読み直して基本部分を確認する。
- 何が悪かったのかをはっきりとして反省をする。
- とりあえず、どこかの温泉旅行に出かける
これ、私にとっては全部大事です。
まず、「ポジションをゼロにする」ことでスランプ相場とのつながりを断ちます。
スランプになっても、悪いポジションを持ち続けるとスランプが長引きます。ポジションがある限りいかに反省しようとも、スランプが続いた状態になるためです。やってみるとわかるのですが、スランプ期には相当の含み損を抱えていることが多いのでそれを全部決済するにはかなりの勇気が必要となります。
でも、その勇気を振り絞ることがスランプ脱出の一歩となります。
その後は、中原名人のように基本に戻り自分の運用全体を見直します。私達専業トレーダーは、棋士のように大人数のグループがある訳ではないので若手の中に入っていくというのはできないので、ここは一人で作業をすることになります。
そして、これが一通り終わったら「とりあえず、どこかの温泉旅行に出かける」ことにしています。米長先生の好きなことを思い切りやって頭の中を空っぽにするというのと同じことをします。
これで、大体一区切りがついて次の相場に挑む準備ができます。
スランプ時期の禁止事項
スランプ時期にやってはいけないこととして米長先生は、こう書いています。
スランプに陥った時、一番よくない処方は、コーチのような人に付いて「あそこがいけない」「ここが欠点だ」と、あれこれ言われて考え込むことである。
これ、FXでも同じですね。スランプの時期には、いろんな人からアドバイスが欲しくなるものですが、これが混乱のもとになることはよくあります。特に、数人からのアドバイスをもらうと矛盾したことを言われることも多く、わかったようなわからないような状況に陥ります。
相場格言でもいくつかこの点を指摘したものがあります。
- 初心者にとって、一番悪い教師は少しばかり相場を知っている人である。
- 初心者によってたかって嘘おしえ
FXで厄介なのは、本当にどれが正しいのかが本人にわからないことが多いことです。アドバイスをする人は、自分の言っていることは絶対に正しいと思っています。それほど利益が出せていない方でも相場の解釈やアドバイスは立派にできてしまいます。
そして、善意故にアドバイスされた方は無視できないものがあります。これを無視すれば、アドバイスをした方も気分が悪いものです。でも、何らかのアドバイスは欲しいという方も多いかもしれません。
私は、スランプ時には誰にもアドバイスは受けないようにしています。そして、自分だけで解決するまで苦しんで結論を出すようにしています。
私自身がやっている運用法自体は正しいと確信しています。それ故、スランプに陥ったのは「運用法自体が苦手な局面だった」か「私自身がルールを守らなかった」のどちらかに原因があることがほとんどです。その大きな部分をまず考えてから枝葉部分を掘り下げていきます。
トレードは、一生涯続けていくものです。長い間にはいろんなことがありスランプもその一つです。調子が悪くなっても慌てずに対処し、日々1分の基本技術を磨きながらいつもの売買ができるよう心掛けていきましょう。