「くりっく365 建玉整理機能」の使い方 両建て派必須知識
ほとんど知られてない機能ですが、両建て系運用では大きな力を発揮します。一般的に建玉整理という言葉を聞いても「ポジション一斉決済する程度の機能じゃないの」という感じでピンとこない方が多いだろうと思います。
でも、両建てを駆使したり含み損ポジションを少し休ませたい場合などにはとても便利な機能なのです。
両建てからの変化に便利「建玉整理」
先日参考記事を作成しました。
両建てポジションを別々に決済した場合と建玉整理を使った場合の比較なども記事内でまとめてあります。
この「建玉整理」は、くりっく365同一口座内で同通貨を両建てした場合に使えます。記事内では、南アフリカランド円の両建てのケース説明しています。
例えば、買いポジションを保有したままヘッジのために売りポジションを建てて両建てにする場合などです。
建玉整理は、口座内で作った両建てポジションを相殺して消滅させます。通常の両建てポジションであれば、それぞれ決済する必要があるため、スプレッド負担が2倍になったり、変動次第では今よりも不利な決済となって更に余計な損失が膨らんだりします。
- 南アフリカランド円 7.00円で100万買い
- 南アフリカランド円 7.60円で100万売り
以上の事例で説明させて頂きます。
くりっく365でこの両建てポジションを作ったとします。買いポジションの60万円の含み益を両建てポジションで確保した状況です。
この方は「買いポジションはそのままで、売りポジションは下がったら決済する戦略」だったとします。
でも、下がらないで上がり続けたとしましょう。
南アフリカランド円が8.5円くらいまで上がってしまって下げてきそうにありません。
どうしましょうね。
私だったら2つの選択肢のどちらかにします。
- 「建玉整理」を実行して60万円の利益を出す。
- そのまま両建てポジションを維持して粘ってみる。
正直、どちらでもいいんですよね。
南アフリカランド円は長期でみれば下げる傾向のある通貨ですが、1年や2年間上げ続けることだって当然あります。くりっく365は、2年間両建てポジションを維持したままにしておいても、含み損益に変動はありません。
利益も増えませんが、損失も増えません。この両建てポジションは、買いポジションと売りポジションの差額の損益を完全に保持密封された状況となります。両建てからのポジション変化をしていくうちに、ある程度限界になってポジション保有が非効率になることもあります。
そういう時は「建玉整理」を使ってスムーズに損益の確定をしてしまいます。この特徴は、スプレッド広目の南アフリカランド円などでは更に有効なものとなります。
スワップポイントサヤ取りを何度かやったことがある方は、両建てポジションの決済ではちょっと緊張した経験をお持ちでしょう。
参考:スワップポイントサヤ取り
相場観不要の運用法なので、両建てポジションを作ったあとは楽なのですが、注文を出すときだけはちょっと緊張してしまいますよね。スワップポイントサヤ取りで建玉整理は使えないのですが、「あの両建て決済がスプレッドのロスなくできる」とすれば、そのメリットは理解して頂けると思います。
建玉整理は、決済とは違うので為替レートとにらめっこする必要はありません。そのため、失敗というものもありません。
暴落から一旦避難する使い方
もう一つの使い方としては、「暴落から一旦避難する使い方」です。
暴落時に買いポジションの含み損が膨らんだときに「一旦両建てして損失増加を抑える手」を使った経験をお持ちの方も多いと思います。こういうときにも「建玉整理」は有効に使えます。
含み損が膨らんだ時は一旦損きりが最良の選択であることが多いものですが、実際の運用では損きりして敗北を認めたくないこともあります。
そういう時には、一旦口座内で両建てという選択をするケースもでてきます。一般に言われている「フタをする」というやり方です。
ただ、昔からこういうパターンで行う両建ては「両建てした後に更にミスをする」こともよくあります。両建てはうまく外すにはそれなりの練習が必要だからです。
この手の両建ては、日が経てば経つほど後悔がつのります。その内「せめて、両建てをスプレッドなど損せずに上手に決済したい」という気持ちも出てきます。
このパターンの両建て決済は失敗できません。
含み損を抱えた挙句、両建て決済にも失敗すれば、更に頭が熱くなってしまいイチかバチかの大勝負をしかねない心理状態になることがあるからです。
よく言われていることではあるのですが、、破滅への道というのは多くの失敗を重ねることにより加速していくものだからです。
こんな時に綺麗にポジションを消せるのが「建玉整理」です。「建玉整理」を使えば両建てポジションを一気に消滅させられるため、失敗の連鎖を防ぐことになります。
- 暴落により買いポジション含み損増加
- 損きりしたいが踏み切れず一旦両建てにして一休み
- 数日後、「今回は負け」と覚悟を決めて建玉整理でポジション消滅
「損きりしたいが踏み切れない・・・・でも一旦両建てならできる」
これは、投資家の一般的な気持ちです。含み損で苦しんだ経験のない方にはわからないかもしれませんが、これは事実です。損きりしたいけどできない時というのは、その後も暴落が続いてしまうことも多いものなのです。
「ああ、あそこで損きりしておけば・・」
こういう気持ちになった経験はどなたにもあります。でも、早めに両建てにしておけば、その後に暴落が続いたときなどは「助かった」という気持ちになります。そして「やはり、あそこで損きりが正解だったのか」と納得することにもなります。
自分の気持ちの整理がついたら、建玉整理を実行して両建てポジションを消滅させてしまいます。
この両建てポジションには、両建て時点の含み損がそのまま残っているので含み損が表に出てくることにはなりますが、大怪我をせずに済んだという気持ちもあるので少しは気楽になるはずです。
なんで、この機能は他のFX口座ではないんだ?
くりっく365のみの特殊機能というのは不思議な気がしますよね。
これは、私の推測ですが「くりっく365の運営者に「証券」「商品先物」出身者が多い」のかもしれないと思っています。
「建玉整理」のような機能は、株式や商品先物では昔からセミプロ以上が使っていた機能です。実は、くりっく株365にも「建玉整理」とよく似た機能がああります。
これに対して、店頭FX口座は最初から為替業者あるいは新規参入組が多い傾向にあります。こういうマニアックな機能はシステム負担を増すことにもなるのでつけなかったのかもしれません。
実際、くりっく365口座保有者でもこの機能を使う人はごく僅かです。
ちなみに、くりっく365口座の中にも「建玉整理」が使える口座と使えない口座があります。
私の使っているこの辺の口座では建玉整理は使えます。ただ、外為オンライン社のくりっく365口座では現状使えないようです(2016年3月現在)。先日電話で希望を出しておいたので、いつか使えるようになる可能性はあります。
私の南アフリカランド円運用は、この建玉整理を組み込んだ形でやっていきます。単純な形は次回ご紹介させていただきます。
ZARJPY売買概論 目次
- 第1回:南アフリカランド円売買の考え方
- 第2回:南アフリカランド円で威力発揮 「証拠金MAX+スワップポイント売買同値」
- 第3回:「くりっく365 建玉整理機能」の使い方 両建て派必須知識
- 第4回:両建て派 南アフリカランド円ポジションの回し方
- 第5回:南アフリカランド円 歴史と現状から見えるもの
- 第6回:買いでも売りでも恐怖 南アフリカランド円どう攻める
- 第7回:南アフリカランド円 買いで勝つための考え方
- 第8回:南アフリカランド円 RSIでみた買い基準
- 第9回:移動平均乖離率と南アフリカランド円 綱渡り武勇伝
- 第10回:南アフリカランド円 暴落後の反動狙いの鉄則検証
- 第11回:南アフリカランド円売り ヘタなのに勝てたのはなぜ?
- 第12回:南アフリリカランド円 売りで勝つための考え方 3つのポイント
- 第13回:ランド売りその3:慣れるまではポジションを小さく
- 第14回:スローストキャスティクス 南アフリカランド円売り研究その1
- 第15回:移動平均乖離率の売り目安 南アフリカランド円売り研究その2
- 第16回:ADXでみた売り時 南アフリカランド円研究 その3
- 第17回:RSIでみた売り時 南アフリカランド円研究 その4
- 最終回:ZARJPY売買今後の方針
- 番外編 前編:くりっく365 建玉整理 実例
- 番外編 後編:建玉整理 2つの優位性とは
南アフリカランド円売買2016年主力口座は以下の2つです。