リピート系自動売買 5つのデメリット(その2〜その5)
前回までリピート系自動売買を始める前に必ず理解しておくべき「損失加速のリスク」について説明しました。
見方を変えれば、この部分を把握して対応していけば、大失敗はほぼ防げます。これ以外にリピート系自動売買のデメリットと思われる部分が4つあります。
リピート系自動売買は、どなたにでもすぐに利益を出せる仕組みなっています。ただ、設定次第では「最初から無理な設定だった」ということもあり、失敗してから後悔することにもなります。
なので、残り4つのリピート系自動売買のネガティブな部分について書かせていただくことにします。
リピート系自動売買 5つのデメリット(その2〜その5) 目次
- その2:有手数料が基本
- その3:一本あたり利益が少額
- その4:稼働後の設定変更は難しい
- その5:スワップポイントは総じて低目
その2:有手数料が基本
リピート系自動売買では、基本的に手数料負担があります。私の使っている4口座で大雑把に紹介すると以下のようになっています。
- トラリピ(マネースクエア) 片道5銭
- トライオートFX 片道20円
- ループイフダン 無料(スプレッドが裁量口座よりも1〜2銭程度広目)
- パートナーズFXnano 無料(ただし設定上の制限多し)
単純に1000通貨での手数料でみると口座間で結構な差があるのがわかります。ただ、各社手数料割引制度があります。かなり有利な割引制度を持つ口座もあるので、本当の有利不利は割引制度も考慮して比較する必要があります。
トラリピ口座では、設定値幅を30銭以下にすると手数料が通常形見と5銭→片道1銭になる「せま割」があります。今の私の設定も「せま割」を活用しています。
この「せま割」は、1万通貨未満の売買をするときは手数料が通常の5分の1で済みます。ただ、「せま割」適用条件が設定値幅30銭以下となっています。「せま割」にこだわりすぎると、無理に設定値幅を狭くしようとしてしまうことになりかねません。
経験上、手数料割引を意識し過ぎた設定は本末転倒の話であり失敗の原因ともなりかねません。少々手間はかかりますが、自分の考える設定が「せま割」の基準となりそうなときにこの「せま割」制度を利用するようにl心掛けていくと有効活用できます。
トライオートFXは、1本の売買数量が増えると手数料が下がっていきます。50万通貨で手数料無料となるのですが、1万通貨でも手数料片道1銭と1000通貨の半分程度に減ります。
パートナーズFXnano口座は、連続注文という機能でリピート系自動売買と同じ効果を出すことができます。
連続注文は、手数料無料で使えるだけでなくスプレッドは通常の業界最狭水準の裁量トレードと全く同じです。100通貨売買もできるのでこの口座独自の細かい設定もできます。
ただ、最高回数が20回に制限されていたり、まとめて設定することができません。このため、50本の設定でも1本1本設定していく必要があります。
実際問題として、50本や100本の注文を手動設定するのは相当な手間です。その後の修正もなかなか大変です。
なので連続注文は、私自身本格的なリピート系自動売買口座としては使っていません。
パートナーズFXnano口座は、マネパカードの買物利用で得たキャッシュバックを運用する口座として位置付けています。
参考:元手最低0円からのFX マネパカード+パートナーズFXnano
クレジットカードのポイント部分をFX運用に回していくイメージです。5月の買い物で得たキャッシュバックをそのままパートナーズFXnano口座に資金移動させて連続注文を設定して運用していきます。
運用資金が貯まるごとに1本1本追加設定していくやり方なので、手間もかかりません。
数千円から100通貨単位で行う運用です。なので、資金が劇的に増えるものでもありませんけどね。クレジットカードのポイントを運用してどれだけ増えるのかという実験でもあります。
こんな具合に各口座それぞれに手数料制度が違います。大きな運用資金が最初から用意されているのであれば、1本50万通貨売買で手数料無料となるトライオートFXが有利です。でも、この条件を満たせる方は少ないはずです。ほかの方々は、ご自身の設定を元に、それに合うFX口座を使い分けていくのが良いです。
各口座で結構な手数料差があります。本格的にリピート系自動売買を手数料負担は避けては通れません。
手数料率は10%〜20%は普通
1本1000通貨とはいえ、毎日のように5本くらいの注文が成約すると手数料負担の積み上げはかなりのものになります。決済が増えれば利益も大きくなりますが、そのたびに支払う手数料も当然大きくなります。1000通貨売買であれば利益確定値幅20銭くらいで往復2〜4銭くらいの手数料は普通ですので手数料率は10〜20%になります。
手数料無料のFX口座に慣れすぎると、最初はこの手数料負担がすごく重く感じます。
売買数量を増やせば手数料が安くなるからと、広い値幅で少ない本数で仕掛けたりしたくなります。
実際、私は何度もそういう仕掛けを設定しました。
でも、それだとなかなかリピート系自動売買のメリットを享受できません。
あんまり広い値幅だと、売買がほとんど発生しなくなります。当然のことですが、利益も出ません。そして、あまりに売買頻度が少なくなると、普通に手数料無料の手動注文で普通に対応ができます。
結果として、利益額は手数料を払ってリピート系自動売買を放ったらかし稼働させた方が有利になることが多いという現実を思い知らされることになるのです。
値幅を狭くすると、売買利益も大きくなります。ループイフダンなどで公開されているシミュレーションデータでは「値幅を半分にすれば利益は2倍以上になる」とされています。
私自身も使ってみて、このシミュレーションデータが現実の利益差としてでてくることを実感しています。
これらの現実を体感して、最近やっと考え方が変わってきています。
リピート系自動売買の手数料は、堅実・安定してやっていくための必要経費として受け入れていくということです。大量の売買注文を簡単に設定できて、売買も着実に執行してくれることを考慮すれば、この手数料負担もやむを得ないと思っています。
追記
MT4でリピート系自動売買EAを作るという選択肢
実は、リピート系自動売買のプログラム自体はそれほど難しいものではありません。
私も数年前の勉強会で作ったものを持っているので、近いうちにそれを改良して使おうかと思っています。昔はEAを無料公開しているブログもあったのですが、最近は見なくなりました。
豊嶋先生の著書「FXメタトレーダー実践プログラミング」でプログラムが紹介されているのでそれをもとに作ってみるのも良いかもしれません。
手数料無料のMT4口座で、自作EAでのリピート系自動売買を行えば手数料負担はゼロ円となります。
その3:一本あたり利益が少額
リピート系自動売買デメリットその3は「一本あたり利益が少額」ということです。
裁量トレードでは、証拠金数十万円でも1回の売買で数十万円の利益を出すのは珍しくはありません。でも、リピート系自動売買で1000通貨で利益確定値幅30銭設定の場合、1本の利益は300円です。
これでも、設定本数が50本・100本の場合は証拠金は100万円以上入れてあるのが普通です。
設定の仕方次第で利益幅は調整ができるのですが、リピート系自動売買の長所を活かそうとすると自然に値幅は小さめとなります。
10円・20円の大き目の相場があっても、その上げ下げの中には数十銭単位の小さな往来が無数にあります。1本の設定値幅を小さくすれば、その往来を丁寧に利益に変えていくことができます。
最初は大きな値幅で設定していても、この辺を意識するに従い、自然と1本当たりの利益額は小さくなっていく傾向にあります。
リピート系自動売買を始めたばかりの頃は、この利益額の小ささが嫌になってしまうかもしれません。もっと、利益を増やすために1本あたりの売買数量を増やしたりして全体のレバレッジを上げてしまうようなこともやりがちです。
例えば、半年間変更なしに動かしてある私のトライオート設定は40銭です。1本2000通貨なので1本あたりの絵利益金額は800円です。
この記事に書いたように、こんな設定でも昨年11月末からの累計利益は15万円ぐらいになりました。この間、利益確定値幅の変更は一切していません。
800円の積み上げで、15万円ということはこの半年間で約180本の利益確定があったことになります。
利益にはスワップポイントも含まれているので実際の利益確定本数は単純に利益金額を800円で割ったよりも少なくなります。
最初は、なかなか利益が積み上がらずもどかしい思いをするかもしれませんが、数ヶ月もすれば慣れます。
そして、意外かもしれませんが上げ相場でも下げ相場でも「それなりの利益」をコツコツと出してくれます。
私の設定は「米ドル円買い設定」なので、下げ相場期では「含み損」も増加しています。それでも、数十銭程度の反発がある度にちょこちょこと利益確定が発生するからです。私は、毎月の利益額が安定したものになってくるにつれて、このデメリット部分は気にならなくなりました。
短期で劇的な成果は難しい
小さな利益をコツコツと積み上げて大きなものにしていくのがリピート系自動売買の基本形です。
このため、リピート系自動売買で短期で大きな成果を出すというのは難しいです。
設定値幅を少なくして最大ポジションなどで無理をすれば机上の計算ではできます。でも、その利益が実現するかどうかは運次第です。
半年・一年単位で年間10〜20%くらいの利益率を目安に取り組んでいくのであれば無難に狙っていけます。実際、私のリピート系自動売買設定は損きりなしでやるのを想定して低リスクな形にしています。それでも、2016年実績で年間20%くらいの利益は出せました。
現実に「安定して年20%」といえるものではありませんが、数年の実績をみながら安定してやていけるよう調整していくつもりでいます。
リピート系自動売買を提供するFX業者では、もっと派手な使い方も紹介されています。それらに乗っていくのも良いですが、利益率が高まっているということはリスクもそれだけ高まったということを意識して使うべきです。
「今までと同じリスクでより高いリターンが得られる」
もしも、こういう設定を発見したと思ったり見つけたら、まずは「リスクは高まっているかもしれない」とその可能性を疑うべきです。
例えば、マネースクエアで数か月前より提供開始して順調に成果を出していると思われる「トラリピ プロモデル」も、いざという時には損きりすべきルールが定められています。
好調時に高いリターンを得ていくために、この辺のルールをきっちり守らねばなりません。
仮に15%の利益率であれば、単利でも7年で運用資金は2倍以上になります。もしもこの利益率が手間少なく安定して出せるのであれば、私はそれほど不満はありません。
もしも皆様が私と同様のお気持ちであれば、リピート系自動売買は堅実な運用手段とできるはずです。
その4:稼働後の設定変更は難しいものが多い
リピート系自動売買デメリットその4は、稼働後の設定変更の難しさです。
既に書きましたが、稼働させた後の設定変更幅が出来ない又は変更可能範囲が狭いタイプが多いです。例外はトライオートFXです。稼働後も1本単位で設定変更ができます。
ただ、トライオートFXでも全体のバランスに注意する必要があります。50本・100本設定してある中で1本・2本の設定変更をすると、使い続けているうちに注文値などがズレてきたりするからです。
この辺は、MT4EAによる自動売買と似たような部分でもあります。MT4EAも一度稼働させてしまった後はプログラム変更はしないほうが良いです。できないことはないのですが、プログラム変更によって売買パターンが違ってきてしまうこともあります。
なので、リピート系自動売買でも「事前の設計検討」の重要性は高いです。
リピート系自動売買サービス提供各社では、オリジナル設定でも収支がどれくらいになるかを想定できるシミュレーション機能などを用意してあります。それらの機能を使って、納得のいく設定を作ってから稼働していきましょう。
とはいうものの、最初から設定後も満足のいく設定を作るのはちょっと無理があります。
慣れるまではあまり自己流の考えを入れずに、各FX業者で用意してある設定を証拠金を多目に入れて使ってみるというのもよいと思います。
私も、最初完全オリジナルでやっていたのですがうまくいきませんでした。方針変更してFX業者で用意してある設定をほぼそのまま稼働させてから、利益が軌道に乗ったという経緯があります。
FX業者さんの用意している設定を使う際の注意点は「証拠金」です。
多くの場合、既存の設定を使う際は「運用目安となる証拠金」が記載されています。でも、私の感覚だとこの証拠金は損きりなしでやっていくには「少な目」だったりします。既存設定を使う際は、注意事項などをしっかりと読みこんだうえでリスク計算は自分で行い、場合によっては「運用目安となる証拠金」は上乗せして行うべきです。
リスクの計算方法などは先日書かせていただきました。
参考記事:損失加速のリスクとリスク計算方法
その5:スワップポイントは総じて低目
スワップポイント比較を毎日やっていてつくづく思うのですが、リピート系自動売買口座は、「スワップポイントは総じて低目」です。
例えば、米ドル円のランキングをご覧ください。
2017年5月31日時点でみると、買いスワップポイント一位はくりっく365で1万通貨で1日40円受取が発生しています。他の口座についても裁量トレードで使う口座は、大体30円以上になっています。
同日のリピート系自動売買口座の米ドル円受取額は以下のようになっています。
- マネースクエア(トラリピ):16円
- トライオートFX:15円
- 外為オンライン:20円
- FXブロードネット:23円
- ループイフダン:32円
裁量トレードの30〜40円に対して、リピート系自動売買口座はループイフダンを除けば15〜20円台前半という具合です。
この状況がずっと続いています。リピート系自動売買では「スワップポイント受取」の仕掛けをする方が多いので、ここはデメリットと呼んでよいかと思います。
余談ですが、リピート系自動売買口座はスワップポイントサヤ取りの使い方分かれます。
「せま割」などを使わないと手数料負担が重くなってしまうマネースクエアは、スワップポイントサヤ取りでの使用は特に慎重にやっています。一方、低スプレッド+手数料無料の売買もできるアイネットFXやトライオートFXなどは、スワップポイントサヤ取りが普通にできます。
実際、年に数回は両建て用ポジションを建てたりしています。
リピート系自動売買の陰の部分ばかり書いてきたので、嫌になっている方もいるかもしれません。
でも、リピート系自動売買にはこれらデメリットを上回るメリットがあります。
これらのデメリット部分をしっかり理解したうえで活用していくことでリピート系自動売買はFX運用の大きな武器としていけます。
FX自動売買2017 目次
FX自動売買2017の目次です。