為替相場 長期堤相場で使える「カバプー戦略」
FXオプションを使って下げ相場期に有効に使える戦略をご紹介します。その名も「カバプー戦略」です。
コンビネーション戦略
FXオプションは、まず「今後の相場の想定」をしてから仕掛けを考えます。当初の想定から相場が動き出したら仕掛けも変化させてていくのが理想的な形です。変化の仕方を予め想定して練っておくのが「コンビネーション戦略」です。
今回は、「軽い下げ⇒大きな下げ相場」へと変化してきたときのコンビネーション戦略をご紹介します。
最初から「大きな下げ相場」とわかっていればよいのですが、そういうことはリアル運用ではできません。
下げ相場初期は、その下げの底がどれくらいなのか的確に推測することはできないのが普通だからです。
ただ、「変化のパターン」はある程度決まったものがあります。そのお決まりのパターンの中で、買いポジション長期保有者にとって恐怖となるのが「軽い下げからの大きな下げ」です。
こういう恐怖を感じるような「お決まりのパターン」となってもストレス少なく乗り切っていくためにFXオプションを活用していくというのが、このコンビネーション「カバプー戦略」の趣旨です。
具体的にはこんなことをします。
カバードコールからプットオプション買いへ転換していきます。
2つのオプションの頭文字を取って「カバプー戦略」です。
このコンビネーション戦略は、2段階で行います。
下げ相場初期に「カバードコール」を仕掛ける。FXの買いポジションは保有したままでコールオプション「売り」ポジションを作ります。
下げ相場が激しくなってきた、あるいは激しくなりそうだと感じたときに「カバードコール」を途中決済で利益確定します。
その利益金の範囲内で「プットオプション買い」を購入します。
これによって、FXオプションポジションを「コールオプション売り」⇒「プットオプション買い」に変更したことになります。
FX口座の買いポジションはそのままです。
スワップ投資用の買いポジションを保有している方のリスクヘッジを想定しています。
スワップ投資をしている方は、低レバレッジで運用している方がほとんどですので、5円程度の浅めの下げではビクともしない方が多く、何もしない方が相当数います。
カバプー戦略を使えば、こういう浅目の下げで終わりそうなときでも、「カバードコール」利益を上乗せ利益として受け取れるようになります。
下げが激しくなってきて、10円以上となってきそうなときに「プットオプション買い」に転換していきます。
これで、ここから深い下げがあっても利益を追いかける体制が出来上がります。こうしておけば、例え20円クラスの大きな下げとなって手持ちFXポジションが大きな含み損となっても、プットオプション買いの利益が支えとなってくれます。
このコンビネーション「カバプー戦略」の損益パターンは大きく分けて5つあります。
カバプー戦略 5つの損益パターン
「下げる」という想定で仕掛けるのが「カバプー戦略」ですが。その後の相場展開が思い通りにいかないことも当然あります。
「上げた場合」と「下げた場合」で、カバプー戦略の収支がどのようになっていくのかをまとめてみます。
上げた場合
パターン1:大きく上昇
FX利益+FXオプション損失で損益相殺されます。FX+FXオプションの合計損益としてはマイナスにはならないものの、「何もしないでFXポジション持っていれば利益だった」という気持ちになりやすいのがこのパターンです。
この形が受け入れがたい方は、カバプー戦略は使わないほうが良いです。
パターン2:ほどほどの上昇
FX利益+FXオプション利益でおいしい状況。想定とは違ってあげた場合でも利益にもっていくこともできます。
それくらいの上げまでを利益の出る範囲とするかは、権利行使価格などで調整していきます。
想定に反して上げ相場となった場合、手持ちFXポジションは利益となりますが、下げ相場を狙ったFXオプションポジションが、損失になることもあります。
カバードコールを現在値から少し離れた値で仕掛ければ、浅い上げならパターン2のように双方利益ということもできます。
想定通りの下げ相場突入となったときが、本領発揮のときです。
状況に応じて、第一形態⇒第二形態と仕掛けていきます。
下げた場合
パターン3:第一形態で終了
下げ相場が浅かった場合です。カバードコール利益受取で終了となります。
パターン4:第二形態仕掛けまでいくも不発に終わる
下げが深いと判断して、第一形態の利益確定をして第二形態を仕掛けたものの、それ以上の大きな下げが無かったときです。
この場合、「カバードコールの利益ープットオプション損失」となり、カバプー戦略での収支上はトントンとなります。
パターン5:第二形態もヒット
下げが深いと判断して第二形態を仕掛け、目論見通りに下げたときです。
この場合、「カバードコール利益+プットオプション利益」となり、かなりの利益上乗せが期待できます。
下げ相場では、手持ちFXポジションは相応の含み損となっていると想定されます。
カバプー戦略は、いつもだったら手持ちポジションは下げ相場期は何も上げ転換まで待つという方向けのものです。
スワップ投資用の買いポジションを保有したまま何もしなければ、損失もなければ利益もありません。いつものようにスワップポイントが蓄積していくのを待つだけです。
この局面で今回のようなポジション操作が出来れば、メリットは大きいです。
手持ちポジションはこれまで通りですが、下げ相場期に利益上乗せをする形が作れます。
FX運用安定の効能
カバプー戦略は、カバードコールの利益を元にプットオプション買いへと転換していくものです、限られた予算の範囲内ですので、買いポジションを全てカバーするのはちょっと難しいかもしれません。
それでも、この戦略には価値があります。
スワップ投資をするFX投資家のほとんどが、これまでの下げ相場では低レバレッジにしておいて「我慢」をし続けて相場転換期を待つだけでした。
この「何もしないという状況」は、手間はかからないとはいえ相場変動次第では相当のストレスを感じるときもあります。
FXオプションを使えば、下げ相場での衝撃を和らげてくれるだけでなく、うまくいけば利益の上乗せ機会にもできます。
このカバプー戦略は、私の思いついたコンビネーション戦略ですが、他にもいろんな使い方ができます。
FXオプション口座を開設したら、是非独自のコンビネーション戦略の研究もしてみてください。この研究もFXオプションの楽しみの一つです。
FXオプション攻略 2018年版 目次
- 第1回「暗黒時代に見えた希望」 FXオプション攻略2018版
- 第2回オプション取引終了理由とFXオプション25年ぶり再開理由
- 第3回FXオプションとは 違いをFXとFXオプション比較で解説
- 第4回FXとFXオプションの共通点と相違点
- 第5回FXオプション「買い」の夢と現実
- 第6回FXオプション「売り」の魔力
- 第7回コールオプション現実の売買画像と損益分岐点
- 第8回プットオプション リアル売買と損益分岐点計算方法
- 第9回FXオプションの税金2018
- 第10回FXオプション FXよりも有効な税金対策としての使い方
- 第11回FXオプション無税枠活用「運用通貨選定まで」 その1
- 第12回FXオプション無税枠活用「期日」「権利行使価格」選定 その2
- 第13回損きりルールで利益がでてしまう理由 〜FXオプション無税枠活用法 その3
- 第14回FXオプション 無税枠活用におけるギリギリの税金対策等について
- 第15回FXオプション そのほかの基礎知識
- 第16回FXオプション 開始7か月の運用成績
- 第17回ストラドルの買い 一見とても魅力的なFXオプション戦略編の落とし穴
- 第18回ストラドル売り FXオプションにおける短期と長期比較
- 第19回ストラングル戦略 ストラドル戦略との比較でみた特徴
- 第20回ストラングル戦略 FXオプションでの現実的な使い方
- 第21回カバードコール戦略 スワップ派に必須知識
- 第22回カバードコール FXでの現実的な使い方
- 第23回高金利通貨でのカバードコールの仕掛け方
- 第24回10倍狙いのFXオプション戦略
- 第25回「スポット」とは・・方法と効用
- 第26回FX底値狙い 失敗しても「お小遣い」が貰える戦略
- 第27回一見勝率50%のFXオプション買いポジション戦略
- 第28回為替相場 長期堤相場で使える「カバプー戦略」
- 第29回スワップポイント複利戦略 数十倍に増やすならこの選択肢
- 第30回スワップポイント振替機能を使ったFXオプション複利運用
- 第31回「捨て駒」と「本気玉」 FXオプション「買い」2つの戦略
- 第32回FX底値と上昇狙い戦略と魔法の杖
- 第33回FXオプション 米ドル円と豪ドル円での使い方