カバードコール戦略 概略
今回は「カバードコール戦略」についてです。この戦略も、これまで書かせていただいた「ストラドル戦略」「ストラングル戦略」と同等くらいに有名ですのでご存知の方も多いでしょう。
これから詳細を書かせていただきますが、この「カバードコール戦略」は「スワップ派」には必須知識だと思っています。
「スワップ派が、覚えておいて損のない戦略」
スワップ投資をされている方は、どう利用していくかという視点で読み進めることをお勧めいたします。
スワップ派必須知識 カバードコール戦略
一般的な「カバードコール戦略」は、「現物買い+コールオプション売り」でポジションを作ります。
例えば、株式投資で忠実にやろうとした場合、以下のようなポジションになります。
- 日経225値 23000円前後
- 日経225インデックス投信 2300万相当保有
- 日経225コールオプション売り 1枚売り
*日経225オプションは、1枚で日経225値×1000倍と同等のポジションとなります。
こうすることで、「保有中の日経225インデクス投信値下がり時の損失を一部カバーする」効果が得られます。値動きが小さい往来相場のような展開であれば、何度も利益を重ねていくこともあり、案外大きな利益になったりもします。
ただ、投資金額も大きいせいか、株式投資でカバードコールでヘッジをかけているという話は一般投資家の間では聞いたことはありません。
現行制度では、数億単位で売買しているような方でないと、株式投資で「カバードコール」は使いにくい気がします。
でも、FXでは数十万円レベルのポジションからカバードコールが使えます。やり方は、FXオプションでも株式と同じです。
ただ、FXの場合「現物」という概念はないので、レバレッジを効かせたFXポジションとFXオプションの組み合わせになります。
イメージとしては「長期保有するFXポジション+FXでのコールオプション売り」という感じです。
長期保有するFXポジションの代表例は「スワップ目的での長期保有ポジション」です。
このメルマガ読者の中にも、そういったポジションを保有している方が多数いるだろうと思います。
そういう方に今回の戦略は有効です。
FXでの長期保有ポジションは、その性質上「買いポジション」の場合と「売りポジション」の場合の2つ有り得ます。
なので、FXでの「カバードコール戦略」は、「買い」と「売り」の両方で成立します。
- FX買いポジション
- FXオプション コールオプション売り
- FX売りポジション
- FXオプション プットオプション売り
プットオプション売りで行う場合は、「カバードプット」と呼ぶのが正しいのでしょうが、ここではこの辺は気にせず「カバードコール」に統一させて頂きます。
カバードコール戦略 仕掛け方
具体的な仕掛け方は、以下のページが参考になると思います。
このカバードコールは、以下のような心理状態の時に検討したりします。
- 豪ドル円買いポジションを80円で10万通貨保有している。
- 豪ドル円が82円台後半まで上昇して、そろそろ天井気味の値動きとなってきたので決済を検討している。
長期保有で豪ドル円10万通貨を持っていて、ちょっと上昇したところだけど天井圏に入ったような感じになっている。
いつもだったら「このまま保有したまま様子を見よう。このまま下がるようなら次の上昇期に期待しよう」なんてのんびりした気分のまま下げ相場に突入しても何もしないということもあるようなポジションです。
こういう時に以下のようなポジションを作ります。当時の状況に合わせて「カバードコール」ポジションを作ってみましょう
- 3月1日:豪ドル円値 82.79円
- コールオプション売り 10万通貨
- 権利行使価格83円 期日3月21日
- プレミアム 0.526
10万通貨でプレミアム0.526で、受け取れるプレミアム代金も計算してみましょう。
- 0.526×10万通貨=5.26万円
想定通りに下げ相場に突入して、期日に豪ドル円が83円を下回っていれば5.26万円の利益がそのままいただけます。
3月1日から21日までの3週間で5.26万円です。何もせずに受け取れる利益としては悪くない感じです。
でもですよ。
仮に、豪ドル円が83+0.526=83.526円以上に上昇すれば、このコールオプション売りは損失が出てしまいます。
「え〜、それは困る!」
と、思われるかもしれません。
そんな時でも、仕組みを理解していれば慌てることはありません。
なぜなら、FXオプションで損失がでてもFXの豪ドル円買いポジションで同等の利益がでているからです。
FXオプションポジションだけであれば、「含み損が増えていく恐怖」があるのですが、FXポジションを保有していることで含み損増加という状況に苦しむことはありません。
つまり、こんな状況になります。
- 豪ドル円下落:FXオプションでプレミアム分利益追加
- 豪ドル円上昇:ポジション全体ではプラスマイナスゼロ
無論、後からみれば「カバードコールなんてやらなければ、単純に買いポジションが利益になって大きな利益だったのに・・」なんてことはあり得ます。
それでも、カバードコールを仕掛けた段階では「下がりそうだ」という見通しがあった訳なので、そこは潔く諦めえるところだと考えています。
カバードコール戦略は、長期的な見通しにある程度の自信がある方であれば、何度も仕掛けることで利益の上乗せをしていくことが出来ると見ています。
私も時期がきたら使うつもりでいる戦略です。
FXオプション攻略 2018年版 目次
- 第1回「暗黒時代に見えた希望」 FXオプション攻略2018版
- 第2回オプション取引終了理由とFXオプション25年ぶり再開理由
- 第3回FXオプションとは 違いをFXとFXオプション比較で解説
- 第4回FXとFXオプションの共通点と相違点
- 第5回FXオプション「買い」の夢と現実
- 第6回FXオプション「売り」の魔力
- 第7回コールオプション現実の売買画像と損益分岐点
- 第8回プットオプション リアル売買と損益分岐点計算方法
- 第9回FXオプションの税金2018
- 第10回FXオプション FXよりも有効な税金対策としての使い方
- 第11回FXオプション無税枠活用「運用通貨選定まで」 その1
- 第12回FXオプション無税枠活用「期日」「権利行使価格」選定 その2
- 第13回損きりルールで利益がでてしまう理由 〜FXオプション無税枠活用法 その3
- 第14回FXオプション 無税枠活用におけるギリギリの税金対策等について
- 第15回FXオプション そのほかの基礎知識
- 第16回FXオプション 開始7か月の運用成績
- 第17回ストラドルの買い 一見とても魅力的なFXオプション戦略編の落とし穴
- 第18回ストラドル売り FXオプションにおける短期と長期比較
- 第19回ストラングル戦略 ストラドル戦略との比較でみた特徴
- 第20回ストラングル戦略 FXオプションでの現実的な使い方
- 第21回カバードコール戦略 スワップ派に必須知識
- 第22回カバードコール FXでの現実的な使い方
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