スワップ派が下げ相場で慌てないためのFXオプション戦略
FXの下げ相場突入時にリスクを下げながら、費用もかけずに利益を出していくためのFXオプション戦略をご紹介します。今回の戦略は、以下のようなシチュエーションなどで有効に使えます。
- スワップ投資用に高金利通貨買いポジションを保有している。
- 上げ相場がそろそろ終わりそうだが、まだ決済するつもりはない。
- 下げ相場対策のために有効な手を打ちたい
こういう時にFXオプションで有効な戦略としては「カバードコール戦略」があります。今回記事は、カバードコールを仕掛けた後に更に大きな暴落に備えて有効な一手をうちたいときの戦略になります。
「カバードコール⇒プット」のコンビネーション戦略
2018年10月10日現時点の豪ドル円プレミアム表です。豪ドル円現在値は、上段中央に表示された80.44円です。
仮にですが、「ここが天井臭いと感じている局面」としましょう。
手持ち豪ドル円買いポジションは20万通貨あるとします。
この場合、何もしなければそのまま下げ相場突入で豪ドル円買いポジションは評価益を大きく減らすことになります。或いは含み損を増やすことになるかもしれません。
「まだ上がる可能性がある」という気持ちがあったり、「ここで決済しない」という方針であれば、下げ相場濃厚となっている局面では何らかの損失防止の一手を打ちたいものです。
その一つが冒頭でも書いた、「カバードコール」です。
上記画像でいくと、薄赤色部分辺りのコールオプション売りを仕掛けます。権利行使価格81円でプレミアムが0.659です。保有通貨全てをカバーするとすれば20万通貨のコールオプション売りポジションを作ります。
- 0.659×20万通貨=131,800円
このカバードコールによって、このまま下げ相場となれば131,800円のFXオプション利益を受け取れることになります。
カバードコールは、現実にほとんど下げずに横ばいの値動きとなったときでも利益が得られるという利点もあります。このケースでも、権利行使価格81円+0.659=81.659円よりも上昇しなければ、FXオプションポジションは利益になります。
現在値が80.44円ですので、期日までに1円程度の上昇で済めば「FXポジションの利益上昇+FXオプション利益」というダブル利益も享受できます。
崩れ方が小さいときは、この第一形態だけで追加利益が得られます。
問題は、「ここから大崩れとなったとき」です。
豪ドル円が80円を割り、底抜けのような下げの可能性が出てきたときにどうするかということです。
単純に手持ちポジションを損きりするつもりであれば問題はありません。もしも、証拠金を積み増してでも我慢して持ちこたえる方針であれば、FXオプションを使ってもう一つ有効な一手が打てます。
カバードコールは利益は出しやすいものの、得られる利益上限が限定されています。今回のケースでは、131.800円が上限利益です。
大きな下げ相場となるのが濃厚で損きり予定が無いのであれば、この利益を元にプットオプションを購入することで有効な一手とすることができます。
プットオプション買いは、「下げ相場が大きければ大きいほど利益が大きくなる」というポジションです。権利行使価格と現在値が一緒であれば、豪ドル円プットオプション買い20万通貨は、豪ドル円売りポジション20万通貨と同じような利益を出してくれます。
それなのに、損失は限定されるという特徴もあります。
下げ相場が大きくなりそうなときは、先程の豪ドル円コールオプション売りを豪ドル円プットオプション買いへと変化していきます。
具体的には以下の手順です。
- コールオプション売り途中決済⇒満額利益の8割くらい確保(利益10〜11万円くらい)
- その資金を原資として、プットオプション買い
コールオプション途中決済した利益で、20万通貨の買いポジション全てカバーできるかどうかは、仕掛ける期日・権利行使価格にもよります。
ここは、それぞれの考え方で使い方が分かれます。
代表的なケースは、この2つと思われます。
- 20万通貨のうち10万通貨だけプットオプションで値下がりリスクをカバーする。
- 権利行使価格を現在値よりも1〜2円下で設定して、「5円や10円の大下りの時の歯止め」とする。
他にもありますが、投資家それぞれの状況に応じて使い分けていきます。
いずれにせよ、大きな下げ相場で保有ポジション全てが、含み損増加のリスクにさらされるのを防ぐ効果があります。
私自身、5年以上の長期間保有している豪ドル円買いポジションを相当数保有しています。次の下げ相場到来時期には、このコンビネーションを使ってみたいと思っています。
下げ相場でストレスを抱えないための一手として紹介させて頂きます。