カバード・コールFXオプションでの使い方
カバード・コールは、オプションでは有名な戦略のひとつです。FXオプションでも有効に使えますので、ご紹介させていただきます。
FX買いポジションで追加収益を得られるカバード・コール
サクソバンク証券公式ページで「カバード・コール」戦略はこう説明されています。
FXスポットからの将来(未定)の値上がり益の一部を放棄する代わりに、原資産変動とは関係なく固定の追加収益が得られるものです。
これだと、専門用語が邪魔をして理解しにくいかもしれません。
でも、FXポジションと組み合わせるととても有効な戦略ですので、覚えておいて損はありません。
もう少し具体的にご説明させていただきます。仮に、以下の状況だったとしましょう。
- 豪ドル円買いポジションを80円で10万通貨保有している。
- 豪ドル円が82円台後半まで上昇して、そろそろ天井気味の値動きとなってきたので決済を検討している。
このようなときに今回の「カバード・コール」は使えます。調度現在の豪ドル円為替値が82円台後半ですので、それに合わせて事例を作ってみました。
ポジションの組み合わせは以下のようになります。
- FX:豪ドル円80円買いポジション+FXオプション:コール・オプション売り10万通貨
この組み合わせでポジションを作ることにより、具体的にどれくらいの変化が起きるのかを現実のレートでみてみましょう。
82円台後半のFXオプションのプレミアムは以下のようになっています。
現在為替レートは左上の82.79円です。「コール・オプション売り 83円 期日3月14日」のプレミアムは0.42となっています。
このコール・オプションを10万通貨売りとすると0.42×10万通貨=42,000円受取となります。
42,000円がコール・オプション売りのリターン部分です。
コール・オプション売りのリスク部分は、豪ドル円が83円+0.42円=83.42円超に上昇するとFXの売りポジション同様に含み損を抱えることになることです。
でも、FXポジションで豪ドル円10万通貨の買いポジションがあるので、FX+FXオプションの合計損益としては相殺されることになります。
先程のサクソバンク証券公式ページでの説明文で「FXスポットからの将来(未定)の値上がり益の一部を放棄する代わりに」となっているのは、この意味です。
豪ドル円が90円・100円まで上昇すれば得られたであろう利益を、FXオプションと両建てのような状態にすることで放棄しているような状況になっているからです。
つまり、どこまで上昇してもFXポジションの利益とFXオプションの損失で全体の収支は悪化せずに済みます。
逆に、豪ドル円が下げた場合の対応は、ケース・バイ・ケースでの対応となります。「FXオプションの42,000円の利益だけを受取ってFX買いポジションは残して様子を見る場合」や「FXポジションとFXオプションポジションともに決済して終了させる場合」などが考えられます。
この時の注意点として「FXオプションポジションだけ残す」のは、やらない方が良いです。FXポジションを決済してしまうと、コール・オプションの売りは、FX売りポジションと同等のリスクを背負います。
下げると思ってFX買いポジションを決済してその後上げてFXオプションで含み損を抱える、なんてことになる可能性があるのでご注意ください。
元々、82円後半で決済してしまえば利益は82.79−82円=2.79円で10万通貨ですので27.9万円くらいで終わるところでした。これに、FXオプションを組み合わせたことで+42,000円利益を増やして、合計32.1万円に増やせたということになります。
これが、カバード・コールの効果です。この戦略は、いろんな局面で使えそうです。