FX専業トレーダーよりも兼業トレーダ 断然有利の現実
読者からは「羨ましい」というメールを頂くのですが、兼業トレーダーのほうが良い点が多いというのが現実です。定期的に「将来はFX専業トレーダーになりたい」というメールや相談を頂きます。私は、基本的に「止めた方が良い」という趣旨の返信をします。
私自身、約12年のサラリーマン時代は兼業トレーダーでした。その時の経験も踏まえての率直な感想です。
理由は大きく3つあります。
- 損失による精神的ダメージは兼業トレーダーの数倍
- 社会的信用・評価がゼロに等しい
- FX専業トレーダーは重税となることが多い。
以下、補足させていただきます。
FX専業トレーダー不利 3つの理由
当たり前のことですが、FX専業トレーダーは相場運用成績が収入の中心となります。損きりは、収入源に直結します。損きりは、「経費の一部」と割り切ってすべきものですが、最初のうちはなかなかできません。
兼業トレーダーの時は損きりができたのに、FX専業トレーダーになってできなくなるという現象が起きるのです。
おそらく「損失による精神的ダメージ」への恐れがこういう形になって表れるのだろうという気がします。これによる損きりの遅れが更に傷口を広げて大きなダメージになることもあります。
この現象は、FX専業トレーダーになって軌道に乗ってくればだんだん無くなってきます。ただ、それまでの間に耐えられなくなって離脱していく方も少なくありません。
これは、覚悟しているという方も多いかもしれません。しかし、現実にその壁にぶつかるととても辛い思いをします。
まず、大きなローンは組めないと覚悟すべきです。
これ、最近の話です。兼業トレーダーの方は、住宅ローンが組めないことがつらいという意味はわからないかもしれません。勤続3年以上の方であれば、2000万円くらいまでの住宅ローンはそれほど意識しなくても組めるからです。私も、サラリーマン時代は住宅ローンが組めないなんて考えたこともありませんでした。
でも、FX専業トレーダーは非情に難しいのです。
現在のような低金利は、お金を借りる好機でもあります。仮に自己資金で住宅を購入するだけの資金力があっても、借りることでその差額を利益とできるからです。
- 住宅ローン金利 2%
- 年利10%の運用力がある
こういう状況であれば、差額の8%が毎年利益になります。これだけの差額があれば利益額で住宅ローンの返済もできてしまいます。
例えば、2000万円の自己資金がある状況で年利2%の住宅ローンを組んだとしましょう。
2000万円の運用で毎年約200万円の利益が生み出されます。住宅ローンの返済は元本+金利でも年間100万円台で済みます。
計算上、2000万円の住宅ローンの毎月ローンを利益額で返していくという循環が作れます。この返済パターンは、昔妻で組んだ住宅ローンで使った方法です。
しかし、肝心のローンが組めないのでは何にもなりません。
そして「FX専業トレーダー」とい職業には周囲の風当たりも強いです。人前で堂々と「FX専業トレーダー」と言ってしまうと変な目で見られてしまうだけです。
この状況では、家族が可愛そうです。
私が法人を一つ持っているのは、表向きの別の顔を作っておくという意味もあります。でも、今回の住宅ローン申し込みを経験して今の状況だとまだまだ不足だと感じています。これについては、数年以内にもう一つの表の顔をつくることで解決する予定でいます。
幸い私の裁量トレードは1日数分で全てが終わります。
私の基礎:●●▲■+場帖・グラフ
余裕のある時間に勉強して資格を取ったり、新規の取り組みをしながら相場以外の分野でもしっかりとした足場を作っていくつもりでおります。
この辺は、3歳の息子が小学校や中学校へ行くころまでになんとかしたいところです。
利益が出るようになってくるともう一つの現実に直面します。それは「重い公的負担」です。
参考:FX専業トレーダー自営業のFX税金 負担率でわかった重税の仕組み
家族構成などによっても変わってきますが、利益額が1000万円以下くらいだと、だいたい所得税・地方税・国民健康保険料も含めると利益額の30%くらいになることもあります。
そもそも株式やFXの税率20%というのは、サラリーマンの給与所得控除を考慮した実行税率負担表をみると子供1人いる世帯で年収1500万円クラスの人と同等の重い税率なのです。
単純に20%というとそんなに負担が高くないように感じてしまうのですが、FX専業トレーダーは利益額が小さくても高額所得者並みの税率で税金を払っていることになります。
サラリーマン本業の兼業トレーダーであればFX利益に対する20%の税率は変わらないものの健康保険料が上昇することはありません。
こういう現実は、FX専業トレーダー本人からするとかなり理不尽に感じます。
サラリーマンの頃よりも税金や健康保険料を多く負担しているのに、住宅ローンなどではほとんど評価されないからです。
FX専業トレーダーの良さ
「ゆったりと生きられる」などFX専業トレーダーなりの良さというのも勿論あります。運用技術が確立してくれば収入も安定してきます。
軌道にのってくれば、私のような長期投資前提タイプは日々1分の作業以外は何もすることがないので好きなことをやって生きていけるようになります。
ただ、いつ失敗するかわからないという気持ちが常にあるので私のような小心者は派手な生活はできません。
それほど贅沢もせずに質素にのんびり暮らすという意味では、最高の職業かもしれません。
バラ色の人生のようなものをFX専業トレーダーに期待しているケースも散見されますので今回の記事とさせていただきました。
FX税金2015 目次
連載FX税金2015の目次です。
- 第1回:勢い止めるべからず FX税金対策禁止事項
- 第2回:株式投資家は税金払い過ぎになりやすいのはなぜ?
- 第3回:未決済ポジションの為替差益に税金が発生するケース
- 第4回:スワップポイント税金は2種類
- 第5回:FX利益20万円以下なら無税の誤信
- 第6回:確定申告しないFX 2つの方法
- 第7回:住宅ローンと専業トレーダー
- 第8回:税金のかからないスワップ投資7つのポイント 準備編
- 第9回:【その1:FX口座選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第10回:【その2:通貨ペア選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第11回:【その3:ポジションは未決済のままにする】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第12回:【その4:年間スワップポイントの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第13回:【その5:決済ポジションの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第14回:【その6:含み益が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第15回:【その7:含み損が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第16回:バスケット通貨運用 個人でのやり方と無料ツ−ル
- 第17回:株券でのスワップFX メリットと注意点
- 第18回:「米ドル売らず 南アフリカランド買わず」スワップ投資通貨ペア選びの基本基準
- 第19回:スワップポイント振替制度 2社比較
- 第20回:税金のかからない範囲でやる「スワップポイントサヤ取り」
- 第21回:スワップポイントサヤ取り 心理面で大切な2つのポイント
- 第22回:スワップポイント変動への対応 スワップポイントサヤ取り(異業者両建て)
- 第23回:利益の出しすぎ注意 税金の範囲でやるスワップポイントサヤ取り
- 第24回:画餅の高利回りにご注意
- 第25回:スワップポイントサヤ取り 絶対禁止事項
- 第26回:スワップポイントサヤ取り まとめと念のための資金的余裕記事
- 第27回:税金のかからないFX 2つの方法メリット・デメリット
- 第28回:専業主婦が最初に運用方針を決めないといけない理由
- 第29回:FX法人口座の長所・短所
- 第30回:FX専業トレーダーよりも兼業トレーダ 断然有利の現実
- 第31回:FX税金を減らす基本 必要経費と税額控除
- 第32回:ふるさと納税 なぜお得なの?
- 第33回:ふるさと納税015年改正点「控除上限2倍」
- 第34回:ふるさと納税ワンストップ特例制度
- 第35回:1万円寄付で後世に名を残す 2015年ユニークなふるさと納税事例
- 第36回:国民年金基金 確定という安心感とリスク
- 第37回:確定拠出年金(401K) インフレ時代にも対応できる制度
- 第38回:勝者の鉄則 FX投資家が1月に必ずすべき事
- 最終回:驕兵必敗 驕れるFX投資家に訪れるのは破滅のみ
- おまけ:住宅ローン 審査の緩い銀行の探し方
FX税金に関する記事は下記にてまとめてあります。