相場師松井房吉 松井証券創業者のとんでもない「勝利哲学」
医者の家に生まれたのですが、養子にだされて相場師となったのが松井房吉です。現在ネット証券大手の一角でもある松井証券の創業者としても有名です。彼の相場に対する勝利哲学はちょっとビックリしますよ。
勝つまでやる 勝ったらやめる
相場で勝つ方法を知っているか?
簡単だ。
勝つまでやる。勝ったらやめる。この2つさえ守っていれば絶対に勝つ。
実際、松井房吉松井房吉は、相場で財産をつくり証券会社まで立ち上げ成功させた人間です。バクチ打ちの世界で名を成した人間の言葉であるところが面白いです。
この言葉だけで松井房吉の売買を予想するとすれば「株を買ったら高くなるまで何年でも保有する」タイプのように感じるかもしれません。高度成長期などには、ただ保有しているだけで大きな資産を作った人も実際にいるからです。
ところが、松井房吉の相場の張り方は逆なのです。彼の得意としたのは「下げ相場」です。「買い屋」と「売り屋」で分けるのであれば、松井房吉は「売り屋」でした。つまり、「売り」中心で勝つまでやるという形の売買をしていたのだろうと推測されます。
これ、普通の人にはできません。
例えば、トルコリラ円や南アフリカランド円などの高金利通貨を「売り中心」で勝ち続けるようなものだからです。確かに、トルコリラ円や南アフリカランド円は下げやすい傾向があります。でも、反動で一気に高くなる時期もあるので、その時期に売っていれば大怪我を負いかねません。
しかも、松井房吉の手掛けた株はFXと違い数倍に値が上がることもあります。売り方について相場が暴騰することほど恐ろしいものはありません。
この言葉の中でもう一点、すごいと思う部分があります。
「勝つまでやる。勝ったらやめる。」
この勝ったらやめるのむずかしさです。人というのは、勢いがつくと欲も無尽蔵に大きくなっていくものです。
利益が出始めたところですぐやめてしまえば、小さな利益で終わってしまうのですが、ある程度の水準を超えるとこんどは「もっと利益を増やしたい」という欲がどんどんと大きくなっていきます。その結果、ほどほどの利益で決済するタイミングを失ってしまうこともあります。
当然のことながら、松井房吉はこの部分もクリアしたうえでこの言葉を残したのだろうでしょう。
余談ですが、松井房吉は家族にはつらく当たったところもあるようです。「松井房吉は、売り屋でしたから、年のうち360日は機嫌が悪かった。そのうさ晴らしのために週末は箱根に出掛けてドンチャン騒ぎをやったようです」という話が松井家に残っています。彼の建てた塔ノ沢弁財天は、当時の花街のお姐さん方に人気があったようです。
難しい「売り」を得意技として「勝つまでやる。勝ったらやめる。」を勝利哲学とできた松井房吉は、相場師としての力量はかなりのものであったという気がします。私のサヤすべり取りも、商品先物などでは「売り」を中心に仕掛けていく運用法です。
「売り屋」の先輩でもある松井房吉のように「勝つまでやる 勝ったらやめる」と言えるような実力を身に着けたいと思います。ただ、家族にあたらないように注意します(笑)。