サヤ取りの種類 リターンの大きいサヤ取りはどれか?
サヤ取りというと「低リスクで儲かる運用法」と思っている方が結構います。でも、「サヤ取りの種類によってリスクも異なる」というのが正しい表現です。私がこのブログで公開運用している2つのサヤ取りをもとに違いをまとめてみました。
今回、この記事が初めての方は下記バックナンバーより第一回からお読みになることをお勧めいたします。
2つのサヤ取りの種類
今回は、サヤ取りの種類について整理しておきます。サヤ取りにはその組み合わせ方法などにより無限といって良いほどの組み合わせがあります。そのすべてが低リスクで儲かるというものではありません。中には、全然儲からないで損ばかりという組み合わせも存在するのです。
サヤ取りでは、「サヤ取りの種類」と「売買銘柄のペア選び」がリスクやリターンを決めるうえで重要なポイントとなります。
現在、私は2種類のサヤ取りを実践・公開運用しています。
この2つのサヤ取りの違いを軸に、その特徴をまとめてみます。
同銘柄でのサヤ取り
同じ銘柄で「売り」と「買い」の両建てを作り、利益を得ていくやり方が同銘柄でのサヤ取りです。私たちがやっている「スワップポイントサヤ取りり」がこのパターンです。
スワップポイントサヤ取り以外で、私がやったことがある「同銘柄でのサヤ取り」は以下の3つです。
- 現物株+信用取引売り:例えば、伊藤忠商事株を保有しながら、信用取引で売り建てをするような両建てです。金利が高い時期には信用取引の売りポジションで金利で金利を受け取ることができます。その金利収入を狙って両建てします。⇒このサヤ取りは、低金利の現代ではできません。
- 商品先物9月限買い+12月限売り:商品先物の限月間の価格差(サヤ)を利益に変えていくやり方です。
- 豪ドル円買い+豪ドル円売り:FX業者間のスワップポイント差を利益に変えていく方法です。⇒スワップポイントサヤ取りとしてやっているのが、このサヤ取りです。
いずれも、同銘柄で行っているサヤ取りです。これらのサヤ取りは、売買対象の値動きではなくその付随物で利益を出すのを目的で行います。
- 株式⇒信用取引金利収入
- 先物⇒限月間の価格差
- FX⇒スワップポイント差
この同銘柄でのサヤ取りは、リスクは相当低くなります。株式や豪ドル円など、両建て対象が大きく変動しても両建てポジション全体ではほとんど影響を受けないからです。
このため、荒れ相場でも資金管理をしっかりとやっておけば、比較的安定した利益を得ていくことができます。
ただし、利益額は総じて少な目です。
異銘柄でのサヤ取り
先程とは別に、違う銘柄で両建てするのが異銘柄でのサヤ取りです。これも、各投資分野で様々なパターンがあります。
- 伊藤忠商事とトヨタ自動車のサヤ取り
- コーンと大豆のサヤ取り
- 豪ドル円と英ポンド円のサヤ取り
*伊藤忠商事とトヨタ自動車がサヤ取りできるか同課の検証はしていません。あくまで「こんなイメージ」として挙げています。
「コーンと大豆」は先物市場で実際にやられていて、「豪ドル円と英ポンド円」は私が過去に公開口座で行っています。
今回のくりっく株365サヤ取りはこのパターンです。
このサヤ取りは、2銘柄間の価格差(サヤ)変動で取りやすい組み合わせを見つけてポジションを乗せて利益を得ていきます。
別々の銘柄の両建てですので、このサヤ取りで「リスクが無い」とはいえません。
よく言われている失敗パターンで「買った銘柄は下がり、売った銘柄は上がる」ということもあります。リスクはそれなりにあるものの、軌道に乗ってくれば高い利益率も期待できます。
栗山先生の著書「株式サヤ取り教室」などによれば、株式サヤ取りで年間100%の利益率(1年で2倍)になったこという事例も紹介されています。
私のくりっく株365の2017年度成績も、ここまでの段階で120万円くらいの利益になっています。運用元金は100万円から増額してきたので変動があるのですが、現在口座の利益分を除いた元金で計算すると約25%の利益率です。
リスクはそれなりにあるものの高い利益率が期待できるのが、この異銘柄でのサヤ取りです。
サヤ取り高額商材の利用について
たまに、「●●というところでサヤ取りをやっているのですが、利益になりません。どうすればよいでしょうか」という質問を頂きます。
異銘柄でのサヤ取りのようなのですが、サヤ取り売買に最適な銘柄を教えてくれるというサービスのようです。相関関数などで算出したサヤ取り銘柄を教えてくれるようなのです。
ちなみに私は「相関関数」はサヤ取りでは使いません。
サヤ取りの組み合わせは無限にあります。そのため、「サヤ取り」と名前がついている運用法でも儲かるという保障があるわけではありません。
それが本当に儲かるかの判断は、私にはできないというのが実情です。
ただ、今のところこういうサヤ取り教材で実際に安定した利益を出しているという話はまだ聞いたことがありません。私もかつて無料ソフトを使った銘柄探しをやったことがあります。でも、ある程度やって止めました。
それは、手作業の方が良い銘柄が見つかるからです。
地道な作業ですが、本を読みこんで適切な組み合わせを探す方がよいというのが私の意見です。本は栗山先生の「株式サヤ取り教室」でもよいですし、私のでもよいです。
の岡安商事さんは、くりっく365はやっているのですが、くりっく株365の取り扱いをしていないのが残念なところです。
幸いくりっく株365サヤ取りは、売買対象が4銘柄しかありません。
全銘柄のサヤ取り組み合わせを検討しても6パターンだけです。
私は「NYダウー日経225」ですが、今回の応用形で他の組み合わせを検討しするのも面白いと思います。
くりっく株365サヤ取り 目次
くりっく株365サヤ取り連載記事の目次です。
- 第1回くりっく株365サヤ取り2018 サヤ取りとは
- 第2回くりっく株365サヤ取り 仕掛け方と損益の仕組み
- 第3回サヤ取りの種類 リターンの大きいサヤ取りはどれか?
- 第4回サヤ取りで大損する前に読み記事
- 第5回くりっく株365とは サヤ取りからみた有用性
- 第6回日経225とNYダウ サヤ取りで有利な口座比較
- 第7回NYダウ両建て運用法 「ツナギ売り」から「サヤ取り」に変更した経緯
- 第8回くりっく株365サヤ取り初心者 始める前に知っておくべき10項目
- 第9回くりっく株365サヤ取り 3つの売買道具
- 第10回売買ルール 仕掛け編
- 第11回売買ルール 決済編
- 第12回日経225−NYダウ サヤ取り禁止事項・留意点
- 第13回くりっく株365サヤ取り 1日5分で利益をだしていくためのコツ
- 第14回くりっく株365サヤ取り2018年 2つの課題
- 第15回くりっく株365サヤ取り 売買にみる成功と失敗
- 第16回サヤ取り 成功者がもつべきたった一つの心構え
- 第17回くりっく株365NYダウ 仕様変更の影響とメリット・デメリット