NYダウ わかりにくい為替影響度
くりっく株365での取扱いが始まったこともありNYダウ取引が注目を浴びています。これにより、NYダウの取引はいろんな口座で可能な時代となりました。
ところが、同じ値幅で利益をだしても口座によって利益額が違ってくるというのはあまり知られていません。このわかりにくい原因は「為替影響度の差」にあります。ここでは、くりっく株365・CFD取引・米国株直接投資の場合で比較し、その特徴をまとめてみました。
比較代表口座は、手数料が安く取引条件が良いと思われる以下の3口座を使っています。
- くりっく株365:岡三証券 くりっく株365
- CFD取引:GMOクリック証券CFD
- 米国株直接投資:マネックス証券
NYダウ 為替影響度比較
3口座を為替影響度という視点に絞って比較表を作成しています。
項目 |
GMOクリック証券 |
くりっく株365 |
米国株直接投資 |
---|---|---|---|
為替の影響度 |
損益額を外貨計算 |
影響度ゼロ |
影響度100% |
レバレッジ |
最大10倍 |
最大40〜50倍 |
1倍 |
売りから入る |
可能 |
可能 |
不可 |
外貨両替 |
不要 |
不要 |
片道25銭 |
手数料 |
無料 |
片道162円 |
片道5米ドル〜 |
1枚の約定代金 |
約20万円 |
約180万円 |
数千円〜 |
最低必要証拠金 |
約2万円 |
約4万円 |
数千円〜 |
2016年8月11日現在の比較表です。
為替の影響度の視点を中心にそれぞれの口座の長所短所について補足させて頂きます。
米国株直接投資(マネックス証券)
一番わかり易いのが、米国株直接投資でのNYダウ売買です。具体的には、海外ETFでNYダウに連動するものを買うことになります。無論、グーグルやコカ・コーラなど個別株を購入することも可能です。マネックス証券の米国株口座では、日本円を入金して米ドルに両替(外貨両替手数料25銭)をしてから買付を行います。
このため、NYダウの株価変動+米ドル円相場変動が損益額に影響することになります。
具体的には以下のようになります。
- 「NYダウが10%上昇+米ドル円が10%円高」⇒NYダウ上昇利益分を為替差益が相殺する
- NYダウ10%下落+米ドル円10%円安⇒NYダウ下落損失分を為替差益が補ってくれる。
- 「NYダウ動かず+米ドル円10円安」⇒為替上昇分だけ利益増加
こんな感じで、日本円での利益計算は「NYダウ変動+為替変動」の2つの要素で常に決まります。円安傾向が続くときは、米国株が全く上昇していなくても資産が増えていくのですが、円高時には逆の現象が起きることになります。
尚、現状米国株で信用取引は出来ないため「売りから仕掛ける」ことは出来ません。
私は、この口座は長期保有前提の資金の運用に使っています。長期的には円安傾向となるというのが、私の見通しです。米ドルに両替して米国株を買って保有したままにしておき何年も保有するおくことで、「配当金+株価上昇利益+円安利益」により資産を増やしていくという使い方です。
投資対象は、NYダウでも良いのですが私は高配当で業績安定している個別株を保有しています。日本国内で米国株に直接投資する口座としては、マネックス証券が取扱銘柄も多く手数料も安いグループに入ります。
くりっく株365
先程のマネックス証券米国株口座と好対照になるのがくりっく株365のNYダウです。この口座は、NYダウの値動きを利用した日本円による売買です。
結論から書くと、NYダウの変動で利益額が決まります。
米ドル円相場の為替変動の影響は受けません。米国株直接投資と同じ感じで書くと以下のようになります。
- 「NYダウが10%上昇+米ドル円が10%円高」⇒NYダウ上昇分が利益となる
- NYダウ10%下落+米ドル円10%円安⇒NYダウ下落分が損失となる。
- 「NYダウ動かず+米ドル円10円安」⇒収支に影響なし
為替変動の影響を全く気にすることなく売買できるのが、くりっく株365のNYダウ取引です。レバレッジも最大40〜50倍と小資金でかなり効率的な売買が可能になっています。証拠金取引なので下げそうだと思えば、「売りポジションからの仕掛け」も自然にできます。
更に、配当相当額という調整金も定期的に発生するため、配当目的の長期保有という戦略も有効です。昨年実績でいくとレバレッジ1倍でも2%強の配当が期待できる状況だからです。
レバレッジを引き上げて3倍程度にするだけで、期待できる配当利回りは6%以上にすることもできます。
くりっく株365のNYダウ取引は、「高レバレッジを利用した短期売買」あるいは「高配当を活用した長期保有」という一見正反対な運用を為替リスクを気にせずにできるところかなと思っています。
GMOクリック証券 CFD取引口座の場合
最後に、GMOクリック証券CFD取引です。NYダウは、GMOクリック証券CFD取引では「米国30」という名前で呼ばれていますが、ここでは便宜上「NYダウに統一させて頂きます。この口座の為替影響度は、くりっく株365と米国株直接投資の中間的な存在となります。
GMOクリック証券CFD口座では、損益額に為替変動の影響がでる設計です。
例えば、買値18000で売値19000だったとします。この場合、(19000−18000)×米ドル円レートが日本円の利益額となります。
米国株直接投資の場合は運用資金全体が為替レートの影響を受けるのに対し、GMOクリック証券CFD取引は損益額部分だけが為替レートの影響を受けます。
- 「NYダウが10%上昇+米ドル円が10%円高」⇒利益額×米ドル円の利益
- NYダウ10%下落+米ドル円10%円安⇒損失額×米ドル円の損失
- 「NYダウ動かず+米ドル円10円安」⇒NYダウ損益ゼロならゼロ円
GMOクリック証券CFD取引は、くりっく株365同様に「売りからの仕掛け」も自然にできます。また、配当相当額という名前ではありませんが、それに近い性質をもった価格調整額も3ヶ月に1回の頻度で発生します。
「手数料無料+低スプレッド+小資金取引可能」が、GMOクリック証券CFD取引NYダウ取引の大きな魅力です。これを利用することで、「スキャルピングのような短期売買」や「ポジションの分割」なども手軽にできます。
3口座ともに、長所短所があります。この比較表がNYダウ売買の使い分けの参考になれば幸いです。